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032-2009年度 地域支援事業 アーカイブ

2009年07月23日

2009年度 地域支援事業計画

(目的)
人里に出没するクマ対策として行われている、電気牧柵、柿もぎ、薮払い、危険地域パトロールなどの地域活動を支援する。

(地域)
平成20年度:北海道(浦幌)、岩手県、山梨県、長野県、兵庫県の5地域と長野県の評価1件

(作業部会)
◯坪田敏男(北海道大学獣医学研究科)、佐藤喜和(日本大学生物資源科学部)、
藤村正樹(アウトバック)、吉田 洋(獣害対策支援センター)、溝口紀泰(南安曇農業高校)、
横山真弓(兵庫県森林動物研究センター)、桜井 良(フロリダ大学・NPO信州ツキノワグマ研究会)

◯:コーディネーター


2009年度は北海道、岩手県、山梨県、長野県、兵庫県の計5地域において事業を、
長野県において評価1件を行う予定です。


各事業概要、報告については以下のリンクからご参照ください。


 北海道
 
 岩手県

 山梨県
 
 長野県
 
 長野県(評価)
 
 兵庫県

2010年06月19日

事業報告:北海道(浦幌)

2009年度 浦幌ヒグマ調査会および日本クマネットワーク共催による電気柵設置作業報告
2010/1/20 日本大学 伊藤哲治

浦幌ヒグマ調査会と日本クマネットワークとの共催による地域支援事業として、北海道白糠郡白糠町茶路のデントコーン圃場および北海道十勝郡浦幌町上浦幌地区のビート圃場にて、ヒグマの圃場侵入を防ぐために電気柵の設置作業をおこないました。

昨年と同様に、はじめに、作業をおこなうための圃場の下調べをおこない、2箇所の圃場を選定しました。
そして日本大学、酪農学園大学、東京農工大学の学生らの協力のもと、電気柵設置作業と、その後のメンテナンスおよび見回りを行いました。

2009年8月7日の白糠町茶路デントコーン圃場にて電気柵設置作業を行いました。


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作業の様子


浦幌ヒグマ調査会の活動において、白糠地域の圃場での電気柵設置作業は初めてのことでした。白糠地域は、近年では、ヒグマの農作物への被害や市街地への出没が頻繁になり、その対策としての駆除が浦幌町と同様に増加しつつある地域です。そのため、過剰な駆除をおこなわないようにするには、電気柵のような農業被害対策を導入していかなければならない地域と考えられます。
作業開始前の圃場の様子は、柵の外側に背の高い草本が茂り、さらに柵の内側はデントコーンだったので、柵の内側と外側でかなり視界が悪い状態でした。また、柵の下側には、昨年に侵入したと思われる跡が複数残っており、さらに、進入時に残されたと思われるヒグマの体毛もありました。
下の写真は作業前の圃場の様子です。








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作業前1:防鹿柵内側


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作業前3:防鹿柵外側2

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作業前2:防鹿柵外1


草刈りと電気柵の設置作業後、見晴らしもスッキリし、見通しの良い環境となりました。








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作業後1:防鹿柵内側

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作業後3:防鹿柵外側2


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作業後2:防鹿柵外1


また、柵の下側から侵入跡には、再侵入を防ぐために、電気柵を侵入跡にも設置しました。


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2009年8月12日では、浦幌町上浦幌地区のビート圃場で作業をおこないました。

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作業の様子


この圃場は、クマの侵入による被害跡が残されていました。
下草はひどく生えておらず、作業を比較的スムーズに行うことができました。


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ビートの被害跡

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電気柵の電流スイッチON!!


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高圧電流が流れているので、注意書きも忘れずに

作業後、上記2箇所のビート圃場および周囲の農地について、8月13日から10月31日の間に見回りを行いました。電気柵を設置した1箇所目の圃場は、デントコーン畑であるため、一度農作物を植えたら世話をしに人が圃場に訪れる機会が少なく、さらにデントコーン背の高さから圃場の見晴らしが悪くなることため、ヒグマに侵入された痕がありました。今後、このような圃場でも、電気柵を用いて侵入をいかに防ぐかが課題となります。 2箇所目の圃場では、下くぐりにより侵入したと考えられるクマの痕跡がありました。ここでも、再侵入を防ぐために、下くぐりされた箇所に電気柵を設置して、対策を施しました。 今後は、被害が増加してきた白糠地域にも目を向けて、電気柵設置を継続していきたいと考えます。

以上で、2009年度浦幌ヒグマ調査会および日本クマネットワーク共催による電気柵設置作業報告を終わります。

2010年07月02日

事業報告:長野

都会の人を巻き込んだ柿もぎ活動とツキノワグマの啓蒙活動
担当:溝口紀泰(サル柿大学)

<目的>
過疎高齢化によって、これまで集落へ野生動物(クマ、サル、シカ等)の侵入を防ぐ(予防する)と考えられる活動(柿もぎ活動、竹林整備、電気柵の設置、遊休農地の整備等)が、困難になっている。この問題に対し、関心のある都会の人を巻き込んで、集落全体で立ち向かおうとする集落への支援を行った。また、一般の方へクマの啓蒙活動を行った。特に今までクマの出没があまりなかったが、今年多数のクマが出没した地域にて、クマに関する講演会を行った。


<2009年度実施内容>
2009年9月13日 簡易電気柵の設置講習会 (サル柿大学:長野県富士見町蔦木集落)
 サル柿大学の受講生(農業に興味のある都会の人が中心)により、簡易電気柵を設置した。サル柿大学の農場は、サルやシカなどの 農業被害をよく受けたため、耕作が放棄された畑を1反(10a)ほど借り受け、 農作物の栽培や地域伝統文化(農産物の加工を含む)を、地元の人を講師として学習している。設置した電気柵は、受講生が中心となり、草刈りや電圧チェック等の維持管理をし、電気柵の学習の場として活用している。




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     パワーユニットの説明 
      
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     電気柵内の農作物の収穫

2009年10月25日 竹林管理 (サル柿大学:長野県富士見町蔦木集落)
集落の周りにある竹林(約10a)を、住民と受講生によって整備した。整備中、竹林内のミズキにクマ棚を発見し、クマに関する講習を行った。 




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     竹林管理 
      
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     ミズキにクマ棚を発見
   

2009年11月1日 柿もぎ (サル柿大学:長野県富士見町蔦木集落)
集落の周りにあるもがれなくなってしまった柿の実を、住民と受講生によって収穫した。今年は柿が不作であったが、受講生の強いリクエストにより柿もぎを実施した。干し柿への加工の仕方はすでに学んでおり、柿は受講生に分配した(地元の方の分が足りないくらいであった)。






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     竹竿を使っての柿の実の収穫 
      
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     よくサルが来る柿の木から順に収穫


2009年11月1日 クマ講習会 (原村鳥獣保護員主催)
 これまでクマの出没がほとんどなかった地域にて、本年、養蜂被害とトウモロコシの被害がクマによって引き起こされた。新聞に掲載されるなど話題となり、地元の方が、クマに対して不安を抱くようになり、地元の鳥獣保護員の方が、講演会を企画したので、それに対する支援活動(講演)を行った。雨にも関わらず、約50人の参加があった。また、クマに関する啓蒙のために信州ツキノワグマ研究会よりトランクキットをお借りした。





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     原村鳥獣保護員のあいさつ 
      
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     スライドを使った講演

   

2009年10月17日 あずみのフェスタにてパネル展示 (信州ツキノワグマ研究会)
 クマ出没が日常的に起っている北アルプスのふもとで、あずみのフェスタという環境フェスティバルにパネル展示参加し、来場した方にクマに対する啓蒙普及活動を行った。


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来場した方へクマに関する説明

      
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乗鞍でのクマ出没事件に関する展示も行った


       

事業報告:山梨

放任果樹の撤去、管理剪定 
2009年獣害対策支援センター
 実収穫、剪定日住所本数備考
1 9月6日富士吉田市上暮地7 クマ登った木
2 8月30日富士吉田市下吉田1 畑の柿
3 11月12日富士吉田市新屋2 柿の実引き取りなし
4 11月5日富士吉田市下吉田1 剪定
5 10月24日富士吉田市上吉田1 樹高高い
6 11月2日下吉田3 実の収穫
7 11月7日富士吉田市竜ヶ丘1 剪定
8 11月8日富士吉田市下吉田1 剪定

 今年は、8日間、17本の柿の実の撤去、管理剪定を行いました。
 集落すべての柿の手入れをするのは労働力的にも、予算的にも難しいですが、野生動物の生息状況を把握し、被害防止効果の高い柿の所有者に許可を取りながら、少しずつでも管理していくことが重要であると思われます。
 また、柿の手入れをする活動を知って頂くことで、地域住民への果樹管理の必要性を認識し、行動に移してもらえるきっかけとなる効果も期待できます。活動をはじめた数年前より、クマと柿の関係を理解する声は高くなっており、啓蒙効果もあるようです。しかし現状は、住民の柿消費意欲の減少や、管理する手間の無さが目立ち、やはり外部からの協力体制と管理啓発は今後大切となると予測されます。

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2010年07月03日

事業報告:兵庫

地域に根差したツキノワグマ対策を目指した取り組み方法の確立 ―地域住民による有害個体の集落接近モニタリングとクマ学習指導者の育成―
担当:横山真弓(兵庫県立大学/森林動物研究センター)

<目的>
出没多発地域において、3,4集落の住民に受信機を貸出し、学習放獣した個体が自分の集落や周辺集落に接近しているかどうかをモニタリングできる体制整備を目的とした。また、ツキノワグマの多く生息する地域にある野外教育施設の3施設と連携し、ツキノワグマを素材にした環境教育指導者を育成し、ツキノワグマの生息する生物多様性豊かな自然を体験する仕組みづくりを行うことを目的としました。

<2008年度実施内容>

1.接近状況のモニタリング方法(追跡)の指導
2008年度に習得した2名のアフターフォローと新たな追跡者2名に対しての技術支援と情報交換を行った。


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2008年度からの継続追跡者

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2009年度からの新規追跡者

本年度の兵庫県は、堅果類が豊作であったため、有害捕獲で放獣される個体がこの地域でなく、また昨年度からの個体についてもほとんど出没がなかった。そのため、電波をキャッチできる機会は極めて少なかったが、4名の地元追跡者の育成と連携の仕組みがほぼ確立した。来年度は大量出没が予測される年であるため、来年にむけた準備も継続中である。

2.クマ学習指導者の育成 
3つの野外教育施設とツキノワグマの調査研究に携わる調査グループ、さらには昨年実施した学習会の参加者と連携し、ツキノワグマを素材にした環境教育プログラムについての議論を重ね、プログラムの内容の検討を行った。またプログラムのロゴとツキノワグマパンフレットの作成を行った。現在プログラムの一つを制作中である。


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クマ学習指導者対象のセミナーの開催

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プログラム作り

「そらプロジェクト」ロゴマーク (そらプロジェクト趣旨)人慣れの著しい2歳のメスグマが、植物園やキャンプ場などに姿を見せ、学習放獣や施設職員の懸命な追い払いのかいもなく繰り返し出没し、最後には捕殺された。このクマは、観光客が多い植物園の木道に座り込み、ザゼンソウを食べるなど人を全く警戒しないクマだった。この場所は兵庫県香美町の兎和野(うわの)高原。そこで付いた名前が「ウワノソラ」。追い払いするものから、「ソラちゃん」と呼ばれ、山で行動するようになってくれることを願いながら、ひたすら追い払いが行われた。しかし、このクマには人間の追い払いすら全く恐れるものではなかった。対応したすべての人たちが悔しさと悲しさをこらえながら、最後をみとった。このクマと人との関係から私たちは学ばなければならない。 
 

教育普及用パンフレット
(1月下旬に完成予定)

事業報告:長野(評価)

「長野県における都会の人を巻き込んだ柿もぎ活動」の事業評価
桜井良(フロリダ大学大学院)

目的:本調査では、2008年度日本クマネットワークの地域支援助成事業である長野県の「都会の人を巻き込んだ柿もぎ活動」の形成的評価(プログラムなどが開発・実施されている段階で行う評価)を実施した。評価を行った目的は、1.事業目標の達成度を測定する、2.第二次的な成果や予期しなかった影響を測定する、3.事業の長所と短所を特定する、4.事業効果の向上の可能性を探る、ことであった。

実施内容:
7月5日 サル柿大学スタッフへの聞き取り/参加者への聞き取り
7月8日・9日 下蔦木集落全戸への聞き取り/富士見町町役場職員への聞き取り
7月-8月 参加者へメールにて聞き取り/富士見町町役場農林係へメールにて聞き取り

下蔦木集落の住民への聞き取り調査
方法:2007年より「サル柿大学」の活動が行われている長野県下蔦木集落(国道の北側)の全戸(27戸)を訪問し、「サル柿大学」及びその活動に対する住民の意識に関する聞き取り調査を行った。

結果:27戸中13戸にて応対を頂き(回答率=48.1%)、その中の12戸より有効な回答を頂いた。
表1

質問内容はいわからないいいえ
サル柿大学について知っている (n=12)83.3%0%16.7%
サル柿大学の活動について肯定的な意見*を持っている(n=10)90%0%10%
サル柿大学の活動によって地域が活性化してきている (n=8)75%25%0%
サル柿大学の活動は地域に定着してきている(n=8)50%37%12.5%
* 「良いと思う」「やりがいを感じる」等

当活動の長所については
「都会の人々との交流ができる。今のところ集落のみんなで楽しくやっている。」(男性Aさん2009/7/8)
「都会の人に体験してもらって農家の人の励みになる。根付いてくれれば、過疎もなくなる。」(男性Fさん2009/7/8)といった回答があった。
当活動の短所については
「活性化という抽象的な目標ではこのままいくと空中分解してしまう。」(男性Aさん2009/7/8)
「実績に結び付いていないのではないか、という声もある。」(男性Bさん2009/7/8)といった回答を頂いた。

また、野生動物による農作物被害については、この問いに回答頂いた5戸全ての回答者が「野生動物による農作物被害は減ってきている。」と答えた。

更に、活動により地域に、そして住民に変化はあったかという質問に対しては、
「協力性が強まった。」(男性Cさん2009/7/8)
「いつもと同じメンバーが出ているが、最初は出ていない人も出るようになった。」(女性Aさん2009/7/8)といった回答があった。

ロジックモデルの作成:以上の結果と都会から来た活動の参加者(2人)、富士見町役場新しいまちづくり係(1人)、そして「サル柿大学」のスタッフ(2人)への聞き取り調査の結果を踏まえ、事業の計画と実施、及び評価を効果的に行うためにロジックモデルを作成した。
表2



資源事業の活動意図した成果
投資されたもの活動の内容参加者短期的目標中期的目標長期的目標
▪資金: 助成金等
▪スタッフ: 2人/ 非常勤のインストラクター
▪協力: 富士見町町役場
▪資源: 柿の木、 農作地等
▪柿もぎ活動 (8月28日、11月1日、8日)
▪電気さくの設置(7月12日)
▪参加者:20-25人/各活動日
▪参加者: 2人
▪野生動物による被害の減少
▪野生動物問題に対する対処能力の向上
▪ 活動に対する認識と理解の向上(83.3%の回答者が活動について知っていた)
▪活動を通しての地域の活性化(75%の回答者が活動によって地域が活性化してきていると回答した)
▪活動の地域への定着(50%の回答者が活動が地域に定着してきていると回答した)
▪住民が地域に愛着と誇りを感じるようになり、自主的に地域を守る活動を始める


聞き取り調査にて何人かの住民は「活動を通して地域に協力という意識が生まれた」と話しており、また町役場職員も「活動により下蔦木は自立した」と話しており、サル柿大学は一定の成果を上げ、地域に変化をもたらしていることが分かる。過半数の回答者が活動に対して肯定的な意見を持っており、また地域が活性化してきていると答えており、活動が短期的・中期的目標を達成しつつあることがうかがえる。しかし、スタッフが話すような「住民が地域に誇りと愛着を感じる」といった長期的な目標を達成するためにはサル柿大学の活動は今後も継続的に運営される必要があり、またその効果の測定のためには、継続的な調査(評価)が必要であり、その手法も聞き取り調査だけでなく、直接観察、関与など多様な手法を併用する必要がある。

本調査を踏まえた上でのサル柿大学の活動に対する提言:1.目標の達成度を示す具体的な指標(インジケーター)の必要性、2.野生動物による被害の増減を測るための体系的・継続的な被害面積・金額等のモニタリングの必要性。


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全戸での聞き取り調査を実施した下蔦木集落

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農作業をしている住民にも聞き取りを行った

2010年08月14日

事業報告:岩手

平成21年度日本クマネットワーク地域支援事業(岩手県盛岡市)
岩手県:藤村正樹(岩手県ツキノワグマ研究会・事務局)

目的:岩手県盛岡市で実施されている官学民によるクマ被害対策活動への支援。

本年度事業と結果:ツキノワグマによる被害が毎年発生し、複数のクマが有害駆除で捕殺されている盛岡市猪去地区の自治会では、岩手大学の教授、学生、盛岡市動物公園公社の獣医師、盛岡市の担当者、猟友会関係者からの支援を受け、平成19年度からクマ被害対策に取り組んでいる。

本年度の支援事業では、猪去地区自治会が実施しているクマ被害対策において、自治会から要望のあったセンサー連動の威嚇音発生装置(写真)を提供した。それによって、電気柵ではカバーできない地域でのクマの侵入防止に一定の効果が認められ、地域の被害防除の取組の助けとなった。

さらに、JBNが提供したセンサー連動の威嚇音発生装置の効果が高く評価を受け、翌年(平成22年)は猪去地区のNGOが盛岡市と協議を行い、センサー連動の威嚇音発生装置を自ら購入することに繋がった。

また、10月25日に開催された「猪去の里祭」においては、猪去自治会と岩手大学ツキノワグマ研究会が共同企画した、岩手大学クマ研学生と地域住民との交流会を、本事業では支援を行った。地域住民を対象とした学生によるクマの調査研究の発表は、住民のクマに対する理解と、クマ被害防除の取組に対する認識を深めることに役立った。

以上のことから、野生動物(ツキノワグマ)の被害を恒常的に受け続け、マイナスのマインドに流される傾向があり、且つ地域内の連帯も薄れつつあった都市近郊の農耕地域において、外部からの助言、労力、資金(資材)などの提供を上手に行えば、地域の結束を強め、問題に積極的に対処(被害対策)しようというプラスのマインドに転換することが可能であることが示唆された。ただし、あくまで主人公は対象となる地域の住民であって、外部からの提供を快く受け入れて頂けるように、両者の間に入ってコーディネイトする機関(団体)や人が必要である。

岩手県盛岡市で実施されている官学民によるクマ被害対策活動が比較的順調に推移している原因として、

1. 猪去地区をフィールドにした岩手県大学ツキノワグマ研究会の長年の実績(調査、研究)により、地域住民に一定の理解と外部の人間を受け入れる土壌が作られていた。
2. 学生の活動や地域の取組を支援する岩手大学の体制が整えられていた。
3. 地元住民と外部との両者を上手くコーディネイトしてくれる人材が、行政(盛岡市農政部)の中にいた。
4. 盛岡市動物園公社や猟友会、岩手県ツキノワグマ研究会など、地域の取組をバックアップする団体や人材が揃っていた。
5. 都市部近郊という地域的特色として、外部の人間や団体、新しい考えや技術を比較的受け入れやすい土壌であった。ただし、このことは筆者の個人的な感想である、

今後の課題と考察:今後モチベーションをどう維持し続けるかが課題だと思う。仮に外部からの支援が無くなったとしても、地域住民の自助努力により被害対策が維持され、結果的に被害が軽減され人とクマとの共存が図られることが望ましい。


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購入した威嚇音発生装置